円楽“引き際”自覚で引退表明

現代落語界の重鎮の1人で“円楽一門会”を率いる三遊亭円楽(74)が25日、東京・国立演芸場での国立名人会に出演した。人情噺(ばなし)の名作「芝浜」を演じたが、終演後の会見で「駄目ですねぇ、もうちょっとうまく話せると思ったけど…」と正式に引退表明。一門は継続するが、弟子の会などでのあいさつなども今後の体調次第という。

 円楽はトリとして“ネタ出し”演目の「芝浜」を約45分間、きっちりと演じた。高座座布団の前方右脇に置かれる湯飲み茶わんには、のどの渇きを潤すための“氷水”が入れられていた。亭主が芝の浜で拾った革財布を夢のせいにして、働き者の魚屋として立ち直らせる夫婦の情愛に満ちた人情噺の名作だ。

 自分の進退をかけての一席だった。終演後、楽屋に戻った円楽に、弟弟子・円窓が「十分いけますよ。堅く考えないで、短い噺とか、ねっ!」と笑顔で翻意を促したが、「もうちょっとはっきりしゃべれると思ったが、駄目ですね。こんな調子でまた恥はかきたくない。きょうが引退する日ですかね」と決意は固かった。

 9年前から人工透析を始めて、現在は週3日の通院。さらに2年前には軽い脳梗塞(こうそく)を患い、リハビリも兼ねる生活の中で円楽の口癖は「サラリーマンに定年はあるが、落語家にはない。その代わり“引け時、引き際”というものはある」だった。昨年、人気テレビ番組「笑点」(日本テレビ系)の司会を降板。落語家としても何度も引退を口にしていた。

 正式な表明がこの日になったのは、ろれつが回らないこと、義歯の調子も悪く、この日の出来に納得いかなかったこと、「まだやれる」と言うお客さんの声に甘えるわけにはいかない…が大きな理由。円楽は会見の後に幕が下りるまで、深々と高座で一礼した。

 “円楽一門会”には一番弟子の鳳楽から順に好楽、円橘、楽太郎らから孫弟子まで40人の弟子がいるが、一門会は解散せず、弟子たちに誘われれば大好きな楽屋へも出向く意向。そこでのあいさつや会談、鼎談(ていだん)などには体調を見ながら応じていく。ただ、正式に事前のポスターなどに名前や演目などが出る落語会からは完全に撤退するという。

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