笑いと音楽のコラボレーションだ! “エアギター”ならぬ“エアコンダクター”でブレーク中のお笑い芸人、好田タクト(44)が4日、東京都台東区の浅草東洋館(旧フランス座)で、オリジナルライブ「タクト音楽祭」を開催した。11人で構成された本物のオーケストラをバックに、持ちネタのクラシック音楽の指揮者の形態模写「世界指揮者人名辞典」を披露。200人を超える観客の大爆笑を呼んだ。
オーケストラの奏でる美しき音色を背に、一心不乱にタクトを振り上げる。人気コメディアンの萩本欽一、ビートたけしらを輩出した浅草の舞台で、好田タクトが空前絶後のライブを熱演した。
「笑いとクラシックのコラボレーションという野望がかないました。地道で底辺まっしぐらできた芸人が、こんなことをできるなんて不思議な感じですね」
芸歴25年の苦労人らしく、タクトは感無量の表情だ。指揮者の形態模写を持ちネタに、昭和59年にTBSのお笑い勝ち抜き番組で優勝し、司会のビートたけしから芸名を与えられた。その後は吉本新喜劇の一員になったが、指揮者芸を忘れられず退団。大道芸人として世界を放浪しながら、10年近く温めてきた企画が「タクト音楽祭」だった。
200人を超える満員の会場で、実際に11人構成のアンフィニ・オーケストラを舞台に上げてネタを演じるという奇想天外な演出。白髪やハゲ頭のカツラ、メガネなど多彩なアイテムを駆使し、笑い顔に泣き顔と表情を変化させてカラヤン、チェリビダッケ、小澤征爾、レヴァイン、ストコフスキー、朝比奈隆と形態模写を繰り広げた。
名前は知っていても、実際の姿はよく分からない。観客は頭に「?」マークを浮かべながらも、アンコールの「星条旗よ永遠なれ」では“効果音”で参加。一斉に持参したペットボトルの中身でうがいを始め、不気味なハーモニーを奏でた。
「正直、不満の残る内容でしたが、一芸人としてこういう会を実現させられたことは評価していいでしょう」とは浅草東洋館の川村晃康プロデューサー(43)。同館の定期ライブ「雷ライブ」(次回は24日に開催)は常に満席となるなど、浅草演芸は一時の低迷期を乗り越え、活気を取り戻している。中でも人気を呼んでいるのが、タクトだ。
昭和初期の榎本健一、古川緑波の時代から笑いの歴史が築かれた地。タクトも新たな風を吹き込んだ一人となった。夜の浅草にはいつまでも、手拍子が鳴り響いていた。